蜜の味



【R18:この話は性描写を含みます。閲覧は自己責任でお願いします。苦手な方は引き返してください。大丈夫な方のみどうぞ↓】






























 恐る恐る触れると、雪のように白い肌がふるりと震えた。見慣れた窓、カーテン越しに差し込む夕陽に照らされ、柔らかそうな頬にまつげの影が落ちている。
 腕を伸ばし、艶のある長い髪をすく。引き寄せて重ねた唇は甘く、弾力があって、マシュマロみたいだと思った。
 まだ数えるほどしかしたことのない大人のキス。
 反応をうかがいながら舌を絡めると、ちゅ、と濡れた音がした。 吐息を必死でこらえ、それでも懸命に愛撫に応えようとする様子が、いじらしくて愛おしくて、今にも理性が飛びそうだ。


水上(みかみ)さん」

 とろりと熱を帯びた瞳がこちらに向けられる。

「大丈夫?」

 何に対しての大丈夫なのか、自分でもよく分からない。だた、希沙(きさ)に嫌な思いだけはさせたくなかった。

「だ…いじょうぶ」

 少し上ずって震えた声。

「好き…矢代(やしろ)くん、が…」

 恥ずかしいのか、伏し目がちの希沙は耳まで真っ赤にして呟く。まずい、と思った。この状況で止まれる男がいたらお目にかかりたいものだ。
  矢代は、少し力を入れれば簡単に折れてしまいそうな細い首に、そっと唇を寄せた。





 付き合って二年。お互い話下手で、恋愛に関してはまったくの素人だった。
  一緒にいるだけで満足していたのは最初だけで、知れば知るほど触れたくなった。

 抱きしめたときの甘い香りや、柔らかな感触。そのたびに鼓動がうるさくはねて、いっそ強引に奪ってしまいたいと思ったことも、一度や二度ではない。


 希沙は、大人しそうな外見の割には積極的で、ぎこちないながらも、ちゃんと気持ちを言動で示した。だからこそ、希沙と出会うまで、恋愛どころか女子と話すことすらろくにしてこなかった矢代でも、それなりに段階を踏んでこられたといえる。

 希沙は矢代にとって、なによりも大切で、守りたい存在になった。


 待とうと思っていた。
 女性にとってはすごく大事なことだ。男の身勝手な欲求で、強要していいことじゃない。

「…ん…」

 服の上から膨らみの頂点をこすると、小さな唇から子猫のような声が漏れた。

「やぁ…」
「あ、ごめ…」
「や…だ……まって…」

 慌てて手を引っ込めると、泣き出しそうな顔で見上げられる。
 もう一度、てのひら全体で包み込み、慎重に揉みしだく。 華奢なのに柔らかい身体だと思っていたが、とくにその部分は桁違いで、指がのみ込まれてしまいそうだ。

 希沙の制服のネクタイを取り、シャツのボタンに手をかける。情けなく指が震えた。


「怖く…ない?」

 希沙はかぶりを振る。

「……怖いより…うれしい」
「うれしい?」

 こくり、と小さな頭が揺れる。

「矢代くんが…私と…その……したいって思ってくれたのが…」

 最後はほとんど聞き取れないくらい小声だった。希沙の頬がみるみる朱に染まる。矢代はとっさに目を背けた。今すぐめちゃくちゃに抱いてしまいたい衝動がこみ上げたから。

 …こんなんで、優しくできんのかな…俺。

 矢代は、希沙に負けず劣らず赤くなっているであろう顔を自覚した。

「…んっ……あぁっ…」

 白い丘の頂点、ぷくりと薄桃色に色づいた突起を口に含む。すでにツンと尖っていたそこは、舌で弄るとさらに硬さを増した。

「あ…やっ……あんっ…!…やしろく…っ…!なんか…ヘン…」
「え…」

 眉をたわめ、目を潤ませる希沙に、またも慌てて動きを止める。

「や…!やめないでっ…!」
「でも今、変って」
「ん…けど……もっと…してほしい…の…」

 恥ずかしさの限界を超えたのだろう。希沙は両手で顔を覆った。
 そんな仕草もめちゃくちゃかわいい。


「隠さないで。してほしかったらちゃんとこっち見て?」

 手をどかすと、そらされた視線がゆっくりとこちらを向く。羞恥を押し殺して従う希沙が愛おしすぎて、自然と笑みがこぼれた。

 すでにコリコリに硬くなっている乳首を口に含み、舌を這わす。カリ、と歯で引っ掻くと、希沙はひときわ甘い嬌声を漏らした。もう片方は、親指の腹でくにくにと刺激する。


「すご……ここ、こんな固くなってる。舐められるの、気持ちいい?」
「い…言わせないでぇ…」

 息が上がった希沙の声は、いつもの数倍色っぽい。
 白い肌がうっすらと桜色に染まっていて、クラクラするほど官能的だった。

「下も…触っていい?」

 零れる涙を舌で舐めとり、機嫌を窺うようにたずねる。期待を裏切らず真っ赤になった希沙は、それでもこくりと頷いた。


 熱く脈打つそこは、すでに蜜を溢れさせていた。
 できるだけ優しく、円を描くようにこねる。希沙の細い腰が大きくしなる。愛液をすくいとり、全体に塗りこめると、滑りが格段によくなった。
 ぷくりと主張しはじめたクリトリスには、特別たっぷりと塗り込めてやる。


「ここがいいの?」

 触れるとひくひく痙攣する箇所を見つけ、矢代は心持ち強めにそこを刺激する。

「ああ!…ひあ…っ!やああ…んん…っん」
「口塞がないで。声…聴きたい」
「…っあ、でも…」

 口を覆う両手をとってたしなめる。恥ずかしいよ、と消え入りそうな声。
 ああもう…そんな表情(かお)で言われたら。


「頼むよ…水上さんが感じてくれるの、すげー嬉しいからさ」


 希沙が矢代の「嬉しい」に弱いのを知っていて、あえてそう言った。
 赤く充血し膨れ上がった花芽を、人差し指と中指ではさみ、くにくにと刺激する。狙い通り、今度ははっきりとあえぎ声が耳に届いた。

「あっ!や、やしろくん!」
「ん?」
「…あ…足……ちょっと…」

 膝を持ち上げ胸のほうに曲げさせると、抗議の声が上がった。

「ちょっとだけ我慢して。嫌だったら、言ってくれればすぐやめるから」

 そこは、とめどなくわき出す泉でてらてらと光っていた。まわりを縁どるビラビラが開き、膣内のきれいなピンク色がのぞいている。時折ひくひくと痙攣する花芽をちゅ、と吸い上げてみると

「ひあぁ!!」

 甘ったるい声とともに、細い身体が震えた。弱いのはここか。
 できるだけ優しく丁寧に、ビラビラの外側から内側を舐めまわす。時折、滴る愛液をちゅう、と吸ってみる。

「ああ…ん…ん……やしろく……そんなと…こ……汚いよ…」
「え…?綺麗だよ」

 本心だったが、希沙はフリフリと首を横に振った。

「やしろくんの…口が……汚れる…」
「でも、水上さんは嫌じゃないんだろ?」

 沈黙が答えだった。矢代は再び秘部に顔を埋めた。赤く充血し、今にも弾けそうな突起を唇ではさむ。今度は吸うことはせずに、舌を使って口の中で転がした。

「…んん…あ、ああぁ……ひぅ…っ…はぁぁ」

 希沙の声はすでに蕩けきっていた。
  自ら腰をくねらせ、ぐずぐずになったそこを矢代の口に押しつけてくる。先ほどの抵抗が嘘のようだ。


 これ、すげえ感じてる…よな。
 普段は清楚そのものの彼女が、焦らしに耐えきれずにあられもなく乱れている。矢代の手で固定していた両脚は、今や自発的に大きく開かれていた。

 気持ちいいって…思ってくれてんだよな。舌でするの。にしても…
 これ…ちょっとヤベえな…。クセになりそう。

 こうなることは何度も想像したが、涙目でよがる希沙は、想像よりはるかに(なま)めかしい。
 矢代は、荒くなった息をゆっくりと吐き、必死で自らの欲望をいなす。


「ここ、すげーぐしょぐしょなの、分かる?」
「…あ…あ…そ…んなの……」

 言えない、とばかりにそっぽを向いた希沙に、暗い悪戯心が芽生えた。わざと強めにそこをいじってやると、ぐぢゅ、ぐちゅ、と卑猥な音が響く。

「こんな音させてんのに?」
「…や…!ぁあ!……いじわる……やしろくんの…せいだも…」

 浅い息での舌っ足らずな口調。焦らすのもそろそろ限界か。

「水上さん、ごめん。もう…嫌って言われても止まれねえかも」

 矢代は、すでに固くなった自身のものを取り出し、急いで処置を終えた。そのまま一気に突き立てると、何かを突き破る感覚とともに、希沙の表情が苦痛に歪んだ。


「く…キツ………ごめん…痛い…よな」

「だ…いじょうぶ………すごく、うれしい…よ」

 返ってきたのは怖くないかと訊いたときと同じこたえ。

  経験済の友人らによると、挿入の瞬間に叫ばれたり、泣かれた者もいるらしい。それでも希沙は、柔らかな表情で矢代の首に腕を回してくる。

 可愛いとか愛しいとかではとうてい言い表せない、大きな感情が胸にせり上がる。矢代は目の前の白い身体をきつく抱きしめた。
 おそるおそる腰を動かすと、形の良い眉の間に皺がよった。それでも時間とともに、希沙の声に甘さが含まれるようになる。


「あ…あん…あ…っ!や…しろ…くっ…んっ」
「ん?」
「あっ…す…き…っ!」
「―――っ!」

 瞬間、希沙がひときわ強く締め付けた。すさまじい快感に、矢代も自らの欲望を吐き出す。
 荒い息を整えるのもそこそこに、華奢な身体を引き寄せた。


「…愛してる……希沙」


 思えば二年も付き合っているのに、名前で呼ぶのは初めてだ。目を丸くした彼女が、腰に腕を回し、ぎゅう、としがみつく。

「ちょ、まって…!んなことしたら…」

 じかに触れ合う柔肌の感触に、一度収まったはずの欲望が再び鎌首をもたげた。
 ああもうホント、どうしようもねえ。
 そろそろ家族が帰ってくる時間だというのに。

 すると、小さな唇が遠慮がちにひらいた。


「あ、あの………今度は私が…してあげようか…?」


  真っ正面からのとんでもない申し出に、矢代は顔を真っ赤にして首を振ったのだった。








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